地方都市の夕景

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猫が胆管炎になった

うちでは「ゆず」という名の猫を飼っている。お迎えしてから2年が経ち、生後5ヶ月の子猫?だった彼女も今では2歳半の成猫に。もうすぐ2歳と8ヶ月。
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今年の2月に謎の体調不良で食欲不振になり、元気もなくなってしまったので病院で診てもらったのだけれど、結局原因は不明だった。「胃腸炎ですかね~」みたいな感じでそのうち元気になったので、あれは何だったのだろう?という感じだったのだけれど(この時の対応に疑問を抱いてしまったのでここの動物病院には行かなくなった)。それからは動物病院といえば、眼の掻き過ぎ?で眼頭が赤くなってしまって目薬を貰いに行ったのと、ワクチンを打ちに行ったくらいで、特に問題なく元気に過ごしていた。

しかし、7月半ばにいきなり嘔吐。普段あまり吐かない猫なのだけれど、その後も連日朝と夜に毎回吐くようになってしまった。本人はケロッとしていて食欲も元気もあったので、また謎の体調不良なのかなということで動物病院へ行き、とりあえず点滴・注射をしてもらって薬を貰って様子を見ることに。それでもまた嘔吐してしまい、元気もなくなってしまった。ゆずが元気ないとなると、釣りに行って折角魚が釣れても何だか嬉しくない。心の底から喜べない。そうやって普段魚を虐めているから罰が当たったのだ、とかそういうことは言わないでください。

翌日朝一で再度病院へ。血液検査してもらったところ、肝酵素ビリルビンの値が高く、エコーで見ると胆管が腫れているとのこと。胆管炎(胆管肝炎)の疑い。猫の身体の構造上、膵炎を併発している可能性があり、その場合命に関わるので通院では難しい、入院するしかないとのことだった。どうしよう。突然病気になってしまった。大丈夫なのかな?猫は喋らないし、不調があっても隠そうとする。飼い主が気にかけて、小さなサインに気付いてあげなければならない。最初から様子を見てなんかいないで検査してもらえば良かったのだ。前回の体調不良の際、件の病院で「金払ってくれるならいくらでも検査しますけど、何も出てこないかもしれないし、無駄になるかもしれませんよ。どうせ何も出てこないでしょうし。どうしますか?」みたいな態度を取られて苛ついたのもあってバイアスが働いた、と言うと言い訳になってしまうが、とにかく正確な判断ができなかった。他人のせいにしても仕方ないが、猫のためには常に最善を尽くすべきだと反省した。


避妊手術の時に1泊2日の入院はしたが、それ以外では初めての入院。仕事終わりに毎日面会に行った。(仕方ないが)狭い入院室で点滴の管を繋がれていたゆず。僕や妻が来ると音や匂いで分かるらしく、いつものようにベロベロと指を舐めてくれた。血液検査の値は回復傾向、かと思いきや吐いてしまってまた上がって、といった感じで一進一退。何も手につかず、祈るような毎日だった。結局数値は回復していないが、一先ず吐かなくなったし入院の必要はなくなったということで、予定より少し延びて退院。膵炎は併発していなかった。4泊5日の入院で、ペット保険で3割負担なので3万円ほどだったが、保険に入ってなかったら10万円だった。恐ろしい。これ以降は投薬で様子を見ましょうということで毎日薬を飲ませる。


家に帰ってこれて嬉しくて、ずっとゴロゴロ言っていたゆず。やっぱり我が家が一番だにゃ、という感じ。暫くはめちゃくちゃ甘えん坊になっていた。そう言えば小さい頃はいつもこんな感じだったな。入院生活が寂しかったのだろうか。喉元過ぎれば熱さ忘れるのか、すぐに元通りのツンデレに戻ってしまったが。投薬も最初は難しかったが、今では回数をこなしたのと投薬用ちゅーるを買ったおかげで慣れてきた。抗生物質だけは不味い?臭い?みたいで投薬用ちゅーるでは見破られてしまうので、別の投薬用おやつに包んで口の中へ入れて飲ませる。こうやってまた一つ、猫の扱いに慣れていく。

甘えん坊に磨きをかけて帰ってきたゆずに一週間薬を飲ませ、また病院で再診。途中、また嘔吐してしまっていたので案の定という感じだったが、肝酵素ビリルビンも全然改善が見られなかった。吐いているせいか体重も減ってしまい、2.8キロから2.6キロに落ちてしまっていた。黄疸で耳が黄色くなっていた時もあったし。同じことを続けていても改善の見込みが無いので二次診療を、ということで紹介状を書いて頂き、二子玉川というか高津というかそのあたりにある「高度医療センター」なる二次診療専門の病院で診てもらうことに。何だかどんどん良くない方向に向かっている。何でこんなことになってしまったのだろう…。初めは2週間後に来て下さいという感じだったが、予約の空きができたとのことで2日早まり、さらに3日早まり、お盆休みの初日に連れて行くことに。最先端の動物医療をやっていて「最後の砦」などと呼ばれているらしく、色んな重い病気の動物が来るところだから、予約の空きができたとはつまりそういうことなのだろうか。いや、単に飼い主の都合が悪くなっただけということもあるだろうけれど。

ゆず、初めての電車。初めてのタクシー?ゆずは愛知県生まれで東京まで運ばれてきたので、車には乗ったことあるだろうけれど。片道1時間弱といったところだが、ゆずは慣れない移動と外の世界の五月蝿さで緊張して怯えて、キャリーバッグの中で蹲っていた。ごめんよ。外の世界は五月蝿いよな。最寄り駅からはタクシーで。配車アプリとか初めて使った。
長い待ち時間の後漸く診察。いつもの病院から資料は引き継がれているとはずなのだけれど、一から全部病状を説明。一通り検査するので3、4時間後くらいに呼び出しますとのことだった。

待ち時間がとにかく長く、とにかく暇だった。4階の待合スペース、もといラウンジは何だか臭かったので長時間居るのが苦痛で外に散歩に出掛けた。とはいえ周りには何もない上、猛暑で炎天下、かつ風も強くて日傘もさせない。近くの川でナマズでも探そうと思ったのだが、鯉が溜まってる場所を見つけただけで終了。クロダイも見た気がするが気のせいかも。暑すぎて外には1時間も居られなかった。アイスを食べたり、パンを齧ったりして臭い待合スペースで只管時が過ぎるのをぼーっと待った。予定より少し押して呼び出しがあり、再び診察室へ。血液検査、レントゲン、エコー、そして針を刺して肝臓の細胞を1個だけ取って調べるというのをやって、「胆管炎ですね」と言われた。うん、それは知ってた。これで10万円…。てっきり、今日はお腹を空けて肝臓の組織を取ってそれを見てもらえるのかと思っていたのだけれど、それは最終手段だからまだやらないと。一次診療と重複することをまた一からやっただけで、結局新たに得られた情報は両方の腎臓に石がある(!)という点くらいだった。あとは胆管炎については腫瘍の疑いはないということくらい。今飲んでる抗生物質が効かないなら別の抗生物質も試してみては?ということで別の薬を出された。

うーん、何と言うか、この辺鄙なところまで苦労して来て散々待たされた挙げ句、結果がたったこれだけ?で、たったこれだけで10万円なの?あとCTも撮るならプラス10万円、そこからお腹開いて肝臓の組織を取るなら更に…。今日のところは別の薬を試してみて、それで改善が見られないようであればまた来てもらって、それで別の手段を取りましょうと。え、また来なきゃいけないの?猫のために最善を尽くしたいなら何十万でも払えよ!と言われそうだが、うーん、なんだかなぁ。上手く言語化できないが、色々モヤる。移動だけでもゆずには多大なストレスだから、何回も通ってたらそれだけで具合悪くなりそうだし、、、色々あれだが仕方ない。10万円ほど払って、沢山薬を貰ってその日は帰宅。保険の限度額は1日2万までだから、保険の意味がほぼない…。ペットショップで言われるがままに加入してしまったが、限度額のない保険もあるらしい。知らなかった。ただ、今から変更するとなるとまた色々面倒そうだし…ここは今後要検討だな。


そこからまた1週間ほど薬漬けの日々が始まり、ゆずは元気だったり元気なかったり。しかし新しく飲み始めた抗生物質が合わないのか下痢をしてしまうようになったので、いつもの病院で下痢止めをもらう。全く効かなかったが。台風の日なんかは低気圧のせいか一日中寝てたりもしたが、段々元気になってきたような。バタバタ走り回ったり、おもちゃで遊んだりするようになった。君、治ったのかい?

薬を全部飲みきった段階でまた病院で再診。病院ばっかりだな。これで良くなってなかったらステロイドを使っていく。しかし抗生物質が効かずステロイドを使わなければならないということは、これは一時的な細菌感染ではなく先天的な免疫疾患だということになる。それだと完治はせず、寛解と悪化を繰り返していくことになってしまう。血液検査の結果が出るまで、緊張と空腹で吐きそうだった。結果的にはまだ異常値とはいえ、肝酵素ビリルビンも半減していた。下痢はしてしまうが、抗生物質が効いているようだ。良かった。変に薬を変えてまた数値が上がってしまっては仕方がないということで、別の下痢止めをもらって同じ薬を続けることに。これで良くなるのか。良くなってくれ。

しかし結局下痢止めは全然効かなくて、抗生物質は止めてステロイドを使うことに。抗生物質を止めたら下痢は2日ほどで治った。身体に合わなかったみたいだ。ステロイドを2週間飲ませて、エコーの検査をしたところ胆管の拡張は大分治っていて、血液検査の数値も良くなっていた。さらに一週間後、肝臓の数値はさらに下がり、ビリルビンはほぼ正常値に。漸く終わりが見えてきた。結局、ステロイドが効いたのか。ということはやはりこれは先天性の免疫疾患というか、ゆずは元々胆管炎になりやすいみたいだ。今後も再発しないか注視していく必要がある。全く、手が掛かるね君は。その次の週、肝酵素ビリルビンも正常値に。2ヶ月掛かって漸く治った。まだステロイド以外の薬は少し飲まなければならないが、これを飲み切ったら終わりという感じ。ゆずちゃん、お疲れ様でした。


色々と大変だったが、猫を、生き物を飼うというのはこういうことである。野良猫、もとい地域猫の写真を撮ったり、餌をあげたりしてかわいい~とか言ってるだけとは訳が違う。病気一つせずにずっと元気で居てくれれば良いが、そう上手くいくとも限らない。生き物なのだから、調子の良いときも悪いときもあるのが普通だ。人間と同じで歳を取ってくれば様々な病気に罹るリスクも上がるし、最後はいつか必ず死ぬ。それでも何で皆ペットを飼うのかといえば、やっぱりかわいいからなんだよな。人見知りせずに誰にでも愛嬌を振りまくような猫もいるが、大抵は警戒心が強くて気を許した人間にしか油断した姿は見せない。飼い主はその油断したかわいい姿を知っているから、うちの子が一番かわいい、と思うのだと思う。単に一緒に過ごしている時間が長いからというのもあるだろうけれど。


ゆずはペットショップで買ってきた猫であり、しかも誕生日は1月である。猫の発情は日照時間によって決まってくるから、自然界(野良)では12~2月生まれの猫というのは存在し得ない。が、ブリーダーの元で生まれた猫の場合はこれが普通にある。猫に限らず、魚やら他の生き物でも、そして野菜や果物でもやるような方法だが…要は日照時間がキーだから、電気を点けっぱなしにして日照時間が長いと錯覚させれば、本来発情しないような時期でも雌猫は発情するのだという。雌猫が発情すれば雄猫も発情する。この方法だと年に3回は産めるらしい。当然母体は、母猫はボロボロになるだろうし、すぐに死んでしまうのだろうと思う。そんな方法で生まれてきた子猫たちが果たして健康に育つのだろうか。最初にゆずと会ったとき、彼女は5ヶ月だったが、5ヶ月の割にはだいぶ小柄な体型だった。発達障害とまではいかないし、すぐに大きくなって雌猫としては十分な大きさに育ったが。アメリカンショートヘアーの雌で3キロはまぁ小さい方ではあるが、標準体型の範囲内ではある。でも、何となく病弱な感じがするのはそういうことなのかな、とちょっと考えてしまう。ただのバイアスかもしれないが。

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112154ちゃん。ペットショップが間違えていなければ、これが生後間もない頃のゆず。本当は別の猫かもしれない。全く面影がないし正直分からない。(以前にも書いたが)はじめは保護猫を貰おうと思っていたのだけれど、夫婦共働きではダメとのことだった。通常どこの保護団体でも保護猫は条件が厳しい。ならばペットショップでも良いから、せめて売れ残ってて値下げされちゃってるかわいそうな子を引き取ってあげよう。そんな気持ちで選んだのがゆずだった。自然界ではあり得ない時期に生まれた、とか言い始めたら、そもそもブリーダーの元で生まれてる時点で不自然である。いや、もっと言えばアメリカ産の猫が日本にいる時点でどうなの?そもそも自然って何だ?まぁどうでも良い事だろう。どんな境遇だったとしても、生まれてきた子猫たちに罪はない。保護猫だろうが捨て猫だろうがペットショップで買おうが、その子が幸せに暮らしていけるなら何でも良いんじゃないかな。ペットショップで売れ残った猫が最後どうなるのかと考えたら、こんな狭い家でも来れただけで幸せだったと言えるのかも。本人に聞いてみないと分からないけれど。いや、聞いても猫語しか喋らないから良く分からないけれど。


寝てばかり、ゴロゴロダラダラしてばかりの生き物だけれど、猫というのはそういうものだし、それで良いのだ。ただ元気でさえいてくれれば。