地方都市の夕景

音楽と写真

写真用フィルムの価格高騰、常軌を逸している

いつの間にかフィルムの値段が半端ないことになっていた。円安の影響もあるのだろうけれど、信じられない高騰ぶりだ。これを書いている現在だとコダックのULTRAMAX400の36枚撮りが10本セットで23000円。1本2300円。マジかよ。体感的にはポートラの倍じゃんという感じ。以前は1000円超えるフィルムなんてのは高級フィルム扱いだったのに、今や1000円以下で買えるフィルムなんて存在しない。富士の100ですら1300円…!?以前は業務用という名の400円位で買えるやつがあったのだけれど。購入履歴が残っていた範囲で、自分がやっていた頃(2016~2018くらい)と現在のアマゾンでの価格を比較してみると、

コダック ポートラ400 36枚 5本入
5600円 @1120円 → 14700円 @2940円

・ロモ400 36枚 3本入
1380円 @460円 → 4980円 @1660円

コダック エクター100 36枚 
1115円 → 2590円

といった感じ。ポートラ、エクターは最早マーケットプレイスしかないので当てにならないが(期限切れかもしれないし)、それでも倍以上。ロモも3倍以上になっている。ちなみに写ルンですは27枚撮りで2400円。現像・データ化含めて1回4000円弱くらい?こんな状況だと、これからフィルムカメラを始めるのは難しいだろうから新規の需要も見込めないのではないかと思う。物価は上がって、でも給料は上がらないのだから。完全にお金持ちの道楽になってしまった。フィルム代・現像代を惜しまずにいくらでも使えるのでないと、1ショットにいくら掛かるか考えてしまってシャッターを切ることに躊躇ってしまい、結果良い写真なんて撮れない気がする。とはいえ完全にフィルムがなくなることもないだろうとは思う。富士フイルムなんかは写真用フィルムについては全く採算が取れていないが、それでも一定層の根強い需要があるから販売を続けているという状況らしい。慈善事業というかファンサービスというか。

しかしフィルムカメラ本体は値下がらないどころか高騰しているという。骨董品的な感じ?レンズはアダプター経由でデジタルでも使えるから分からないでもないけれど、フィルムカメラ本体はフィルムが買えなければオブジェでしかないぞ…。ただ高いのは機械式の一眼レフフィルムカメラニコンF3とか)、あとは高級コンパクトフィルムカメラコンタックスT2とか)だけであって、電子制御の一眼レフフィルムカメラやプラ外装のコンパクトフィルムカメラなんかはジャンク扱いで投げ売りされてたりする。僕の使ってたキヤノンEOS KISS 5も中古で2000円弱だったが、今はどうだろう。

以前、妻と出会ってから結婚式までのフィルムオンリーの写真集を作ったのだけれど、あれを今作ろうとしたら一体いくら掛かるのだろうと思ってしまった。逆に今の状況だからこそフィルムオンリーというのが意味や価値を持つのかもしれないが。少し前のフィルムブームの時代にフィルムで撮ることに拘りを持っていた人たちは皆、今どうしているのだろうか。フィルムのストックが沢山あるという人もいるだろう(当然期限切れになってしまうだろうけれど)。デジタルに移行する人も多いだろう。オールドレンズとか使って。あるいは時代の流れと割り切って完全に最新のデジタルに移行するのか。趣味なんだから値段じゃないんだよ!と言われればそうかもしれないが、それにしても値上がり方があまりにも常軌を逸していると思う。多少の値上がりは仕方ないにせよ、個人的には最早甘受できるレベルではない。


デジタルでフィルムを再現したい。というわけでもないのだけれど、何となく好きだからフィルム調の現像をしてしまう。ザラザラの粒子感のノイズが好きで、どうしても加えたくなってしまう。ギターのエフェクターで言うとテープエコー風のデジタルディレイみたいな感じだろうか。スプリングどこにも入ってないスプリングリバーブとか。敢えてLo-Fiなミックスをすることだってあるし、フィルム調、ヴィンテージ風、というのは流行関係なく残っていくものなのかな。


フィルム調の写真が好きなら富士のカメラなんてどうかな、フィルムシミュレーションって良さそうだな、と思って色々調べてみたけれど、APS-Cなのにフルサイズ並みの値段なのでゲンナリしてしまった。カメラ本体とレンズ2本とか買ったら余裕で20万くらいになってしまう。X100Fは中古でも在庫なし。X100Vも20万弱といったところか。本体で言えば中古なら5万円くらいから買えることは買えるけれど、とっくにサポート切れているので壊れたら修理不能になってオブジェと化してしまう。
あとはSIGMAのfpなんかもティール&オレンジとかパウダーブルーとか、色良さそうなんだけど本体とレンズ1本で20万くらい。うーむ。カメラとは直接関係ないけれど、iPhoneを買い替えても、Macを買い替えても20万くらい。何をするのにも20万円。たかが写真の色がどうのこうののために20万円も払う価値ある?フィルムシミュレーションってそんなに良いの?幻想じゃない?というかライトルーム+RNI FILMSで既に似たようなことやってるじゃん…。マウント増やしちゃうと散財の元だし、用途の被るカメラ増やしちゃうとどれを使ったら良いか迷いが生じてしまうし…と色々逡巡して結局全部却下。写真は何が写ってるかが全て。色味とかそんなのRAW現像でどうにでもできるでしょ。カメラなんてα7Sが1台あれば大丈夫。iPhoneMacも買い換えは壊れてからで大丈夫。今持っているものを大事に使おう。