地方都市の夕景

音楽と写真

Distagon T* FE 35mmF1.4ZA SEL35F14Zについて

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前に買ったばかりの時にも書いてますが、

amilamia.hateblo.jp

「Distagon T* FE 35mmF1.4ZA SEL35F14Z」についても、CONTAX T2と同様に検索流入からよく見られているようなので改めて書いておきます。多分持ってる人が少ないし、ネット上にも他のレンズほど情報がないのかも。
最近機材のことばっか書いてますが、正直自分自身のことじゃないから書いてて楽なんですよね。

去年末に買って、7ヶ月程使ってみた感想です。ボディはα7Sです。
どんなレンズもそうだけれど、このレンズ、良いところと悪いところがあります。
まぁ僕は機材に自分を合わせていくという考えなので、問題になることってそんなにないのだけれど。機材の癖を掴んで使いこなしましょう。

■良いところ
 ・F1.4という明るさにより、やや広角でかつボケる
 ・かなり寄れる
 ・透明感、解像感、色乗りが良い
 ・天下のカールツァイス

■悪いところ
 ・デカくて重い
 ・高い
 ・AFがやや遅い
 ・AFがやや迷う
 ・ピントリングが大きくて動きも重い

まとめるとこんな感じ。



F2。結構パースがついてます

35mmというのは標準域〜やや広角で、室内とかだと使いやすい画角かなと。好きな人も多いと思う。ポートレートで使うとなると、人物だけでなく背景もたくさん写したい時に使う感じ。これ以上広いレンズ、例えば28mmとかだと人物撮影にはちょっと歪みが気になるかなというところで、撮り方にもよるけれど、個人的な意見としては人物撮影には35mmが限度かなという感じがする。50mmだとちょっと狭い、けどボケは欲しい、という時に、やや広角かつボケるこのレンズは有難い。とはいえ、35mmでも結構パースはつくから構図には気をつけた方が良いし、歪みが気になるからあまり寄るべきではない。寄れるけど。


F1.4。被写体とあまり距離をとれない状況で重宝する。


マップカメラの商品説明には「数値化できない透明感、空気感」などと書かれていたけれど、本当にそれだと思う。「開放付近の柔らかい描写はポートレート向き」とかも書いてあったけれど、絞り開放だと描写が柔らかいと言うより、ピントが浅くなるからピンボケしやすくなると言うだけの話ではないかとも思う。開放からシャープで使えます。
流石ツァイスだけあって、色乗りは抜群。カメラとの相性、或いは編集時の僕の好みが反映されているだけかもしれないけれど、ガラスとか、コンクリートとか、やや緑~水色~グレーくらいの色の無機質なものを撮るのが向いているような気がする。というかSONYのカメラ、レンズ全般がそんなような気がしないでもない。無機質な写り。


F2.8。寄ると被写界深度がかなり浅くなる


このレンズの欠点は、何よりもデカくて重くて高い、と言う点だろう。

CanonのEF35mmF1.4も、SIGMAのART35mmf1.4も、SamyangのAF35mmF1.4も同様だけれど、35mmで明るくしようとするとどうしてもでかくて重くなってしまうようだ。そこが最大の欠点。そしてDistagon T* FE 35mmF1.4ZA SEL35F14Zについては、他社の35mmF1.4のレンズよりもちょっと高いというのも欠点(何を隠そう、僕は24回払いで買ったので未だに月々割賦金を払ってます…)。α7Sに付けると、フロントヘビーになってしまい非常にバランスが悪い。ストラップで吊るすと完全にお辞儀した状態になってしまう。なぜならボディより重いから。片手では非常に扱いづらい。手ブレします。

他の35mmのレンズだと、Nikonには35mmF1.8という丁度良いやつがあるのだけれど、SONYだと他には35mmF2.8、Canonだと35mmF2、となってしまう。後者はまだ良いけれど、前者のSONY35mmF2.8(SEL35F28Z)は…まぁ35mmでF2.8って割と標準的というかよくあるスペックではあるのだけれど、2段ほど明るくするためにはこんなにもでかくて重くて高くなってしまうのか、というところが未だに信じられない。ちなみにソニーのRX1という高級コンデジにはSonnar35mmF2というレンズが乗っていて、このレンズを単体で販売して欲しいくらいである(レンズ交換できないコンデジだからこそ設計できたレンズらしいけど)。
MFオンリーでも良いなら、コシナからDistagon35mmF1.4が出ているし、フォクトレンダーノクトン35mmF1.4という選択肢もある。ノクトンの方はサイズもかなりコンパクトだから良いと思う。自分はどうしてもAFが欲しかった。AFの効くディスタゴンは唯一これだけだから。

あとこれはカメラ側の問題というか、僕の初代α7Sでの使用時に限った話なのかもしれないけれど、AFがやや遅い。内部でレンズを沢山動かしているのだろうか。そして、他のレンズ以上に、白一色とか黒一色みたいなものだとピントが合いづらいような感覚がある。そもそもAFってそういうものだとは思うし、これはα7Sがコントラスト方式しか使えないからであって、α7ⅡとかハイブリッドAFが使える他のカメラなら問題ないのかもしれないけれど、何故か結構ピントを外すような印象がある。あとは、「ピントリングはスムーズに回る」みたいなレビューが多いけどそんなことはない。このレンズのピントリングは大きくて動きも固いのでMFはちょっとやり辛くて、地味に不便。SEL55F18Zのピントリングの回り具合が一番好き。SEL1635Zのピントリングは軽過ぎてダメ。レンズに絞りリングがあるのは、動画用ということだけれど、静止画しか撮らないから要らないなぁと。レンズ側の絞りが優先するから、A(オート)から勝手にF16になってしまっていたりして、カメラ側で絞りの制御ができなくなって「!?」ってなることがたまにある。


F1.4。先ほどと似たような構図だけれど、このレンズだからこそ撮れた一枚だと思う。


一般的に、広角レンズというのはある程度の明るさがあっても相当被写体に寄らない限りはボケない。けどこのレンズなら割と離れててもある程度のボケが得られる。と言う、ただそれだけなんですよね。一言で言えば。本当にただそれだけの違い。しかし神は細部に宿る、じゃないけど、その些細な違いって少なくとも撮影する方の感覚としてはかなり大きくて、被写体との距離感、アプローチの仕方まで変わってくるから、そこに価値があると思う人には、決して安くないけどおすすめできるレンズではある。つまりはかなりマニアックなレンズです。ボケが欲しい時は50mmとか85mmを使うから、広角にはボケなんて求めないよ、という考えなら全く無用の長物だろうと思う。

もっと言えば、レンズのスペックの細かい違いなんて使っている人にしか分からなくて、写真を見る側にはその細かい差異というのは分からないだろう。僕だって、他人が撮った写真を見せられて、このレンズで撮った写真はどれでしょう?と言われても分からないと思う。でも(繰り返しになるけれど)、その細かい違いというのは撮っている側からすれば全然細かくなんてない、大きな違いなのだ(実際にファインダーを覗いてみてもらえれば一目瞭然なのだけれど)。

少なくとも僕は、このレンズでなければ撮れない写真が必ずあると思ってます。というか実際にあったはずだと。35mmF1.4というスペックでAFが効くレンズだからこその写真が。

ということでDistagon T* FE 35mmF1.4ZA SEL35F14Zについて書いておきました。
これを読んで「買おう!」と思う人がいるかは謎だけれど、参考までに。


デカくて重くて高いけど写りは良い。

携帯性重視でいくならこれ。F2.8でも許せるなら。

MFオンリーでも良いならこれが一番良い気がする。